夜 の 秋

抽斗の奥春愁と九九の表
眉の間に来る春風とソースの香     
寝ころんで蜆貝など見ておりぬ
たまに未来の話をしよう夏の雲
父の声うしろに蛍袋かな
いちにちの心はずして夜の秋
直角に空切り分けて雁の列
伝言は一つ背高泡立ち草
葱刻む忘れたきこと少しあり
新蕎麦や縁側があり伯父がいて

2018年(平成30年) 石狩かしわ俳句会 『かしわ』第1号
 

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