萩 紫 苑

大手鞠頷いてから小半時
柩ゆくさくら散るたび傾いて
ゆるやかに死は来るべし山法師
結論に行きつくまでキャベツ剥ぐ    
八月がそっと白塗りしておりぬ
その先は聞かずに終る滝落下
梅干して天満橋までおつかいに
晩夏光さびしがりやがバス停に
麦の秋ぽとりと落ちる男箸
九・一一石の中からまむし草
朝までに無頼に変わる草ロール
蜻蛉の道をごめんなさいと行く
手を離す今が頃合い赤のまま
無花果や硯出すだけ出してみる
先生の胸のハンカチ蛍草
ひと鋏入れて一人の野分かな
たましいを煮沸しており月夜茸
二百十日一日ずれて訃報入る
沖の音といまだ添い寝の大花野
追伸が結びきれずに萩紫苑

2009年(平成21年) 第43回 北海道俳句協会賞 応募作品
 

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