花 野

春時雨インク溜りを手なずける
じゃがいもの花のうしろが暮れやすい  
振り返るたびに広がる雲の峰
雷を聞いていた夜の硯かな
テーブルにジン炎昼をそそのかす
麻を着て丸ごと海になっている
歳時記を引くふるさとの夏座敷
人間を消して花野を漕いでいく
霜来る夜少し合わない落とし蓋
蕪大根男そろそろ煮崩れる

2020年(令和02年)4月 石狩かしわ俳句会 『かしわ』第3号
 

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