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石狩川河口での遭遇

番外 01

貨物船座礁 もくじ
番外編』から切り離して『石狩川河口での遭遇』のサブフォルダへ

2010.03.25 公開
2014.08.09 独立
2017.04.05 更新

2010.03.24 ベトナム船籍 ドンフォン号(5552t)
3月21日,石狩湾新港の沖合で停泊中,折からの強風で押し寄せられたという。
物見高さでは人後に落ちない私たちである。
さっそく番屋の湯の裏手,あそびーち石狩におもむいた。が,ここからでは遠すぎ
新港東埠頭へと向かうと目の前に

 

 

 

救命ボートと縄梯子

ドラフトマーク
石狩川河口からはやや離れるが,新港東防波堤の外側,浜に沿っておよそ1kmほどのところ。
波打際から沖合数10m,目と鼻の距離で動けなくなっていた。
塗装の境目が満載喫水線の高さ。船首に,船底から2mのドラフトマークが見える。
水深1mそこそこの砂浜に突っ込んでしまっているようだ。

 

 

 

 
東埠頭方向と,バギー車などによりガタガタになった砂丘。
そして,砂に埋まった廃屋に乗り上げようとするかのような座礁船。
さて,とんでもないお荷物を抱えてしまったことになるが,どういうことになるのだろうか。

 

 

 
ワレワレのほかにも,物見高い車がひしめく。
パトカーも巡回してくる。
なんの騒ぎなのさ,とキツネ。呆れてスタコラサッサ。


2010.03.26

 

満載喫水線

 

 
またまた眺めに行ってしまった ^^; 。おそろしく寒い ;_;
この日はさらに好天なれど,海からの激しい風と波。
押し寄せる波に運ばれた砂が堆積して,座礁船はいまにも陸続きになりそうな勢い。

 

 
4輪バギー車やRV車などによる我が物顔の走行により,無惨に破壊された砂丘。
そのクレーター状の傷跡越しに。

東埠頭から

立入禁止
新港東埠頭へとまわり,東防波堤の彼方に望む。

2010.03.27 雪の積もった早朝,浜へと向かう花畔3線は立入禁止となっていた。


2010.03.28

 

 

 

 
なにか新たな動きがあるのか…番屋の湯裏手の浜に下りてみた。
波打際でイサダ(ホッケ釣りの際,撒き餌にするんだという)を掬うおじさんが2人。
座礁船目指して四駆車を疾走させる軟弱者は後を絶たない。
が,片道およそ3.5kmの砂浜を歩いて向かうという奇特な人は皆無。
アレレ。。。イキナリ足が勝手に動き始めるではないか。とうとう往復するハメに。

ドンフォン号はまだおとといのまま。周囲は立入禁止だが動きはない。
サルベージ船による離礁作業は明日からという。

 

 

 

 

 

 
日曜日である。4台のバギー車が行ったり来たり。砂浜を走っているだけならまだヨシとしよう。危ないが。
しかしそれだけではやがて飽き足らなくなる。案の定砂丘にも乗り入れる。生々しい走行跡が。


2010.03.29

 

 

 

 

 

 
いよいよ早朝から救出作戦が開始されるという。
10時半ころ東埠頭は車がいっぱい。ここまできたら水鳥の写真で満足するわけにはいかない。
漁船溜からフェンスをふたつ乗り越え,東防波堤の外へと出る。立入禁止のロープまで接近。
およそ1km沖合いにサルベージ船・航洋丸。2474トンというから座礁船の半分以下。そんなに力持ち,なのか?
始めは弛んでいた両船を繋ぐワイヤロープが張ってくる。いよいよか…
と思いきや,座礁船の左舷から勢いよく放水が始まる。
どうやら軽くするためにバラスト水を排水するということらしい。
普通に考えて数千トンになるだろう。これはすぐには終わりそうにもない。
それよりなにより,寒い。昼も過ぎたことだし,引き上げることにした。
がんこラーメンで温まって帰った。

排出されているバラスト水は,ドンフォン号の母港・ハイフォン港の海水だろうか。
かの地の海洋生物や植物の種子などが混入しているに違いない。
多くの場合気候,環境の違いで生存不能とはいうが,生態系の撹乱はすでにさまざま指摘されている。
こういった事柄も目に見えない形でなにがしかの影響を将来もたらすことになるのかもしれない。


2010.03.30 薄暮の座礁船

 

 

 

 

 
船首はいくらか海側へ回転しつつあるが,離礁作業はなかなか捗らないようだ。
燃料の重油抜き取り用なのか,真新しいドラム缶がたくさん並んでいた。
夕陽と座礁船


2010.04.07

3/30

4/07

4/15
私事ながら,3/31から4/5まで留守にした。
帰ってくるころにはもういないのだろう…と思っていた。
待っていてくれたようだ。ほとんど動かずに。律儀な座礁船である。
新港東埠頭から眺めると,船首の向きはほぼ90°海に向けて回転している。
ならばあとはひたすら引っ張るだけじゃん,と思うのだが。


2010.04.11

 

 

 

三角点"鯨塚"

"鯨塚"から
野次馬根性にも呆れる。
新聞によると水陸両用ブルドーザーによる砂の除去作業が開始されたという。
ついついそばまで近づいて眺めてみたくなるのだ。
肝心のブルドーザーは,先端にアンテナがついているらしい吸排気用ダクトを真上に突っ立てたまま2台並んでお休み中
昨日の収穫物なのか,浜辺に砂の山が築かれている。
けれど砂は無尽蔵。掘る片っ端から波に寄せられて埋まってしまうのではないかと思われた。
牽引ロープはピンと張っていても微動だにする気配なし。
もはや見物人もチラホラ。バギー車はおかまいなしに砂丘を踏みにじる。
近くには漁師小屋。休漁を強いられている定置網漁などに対する漁業補償も大きな問題だろう。
ひどい西風と砂嵐。目も口も開いていられなくて早々に退散。
帰りに三等三角点"鯨塚"(標高9.75m)に立ち寄る。


2010.04.15 ようやく動きが見えてきた。
13日から続く強風が助っ人してくれたようだ。
波の力を借りていくらか沖へ向かって動いている。
東埠頭からの写真は,比較しやすいように04.07の項に置くことにする。


2010.04.16 これでおしまいの巻

4:20

17:10
"朝陽に浮かぶ座礁船"を狙うラストチャンス。
明け方4時過ぎ東埠頭へ。生憎の黒雲。大ハズレ。
このときドンフォン号は間違いなく東防波堤の外で,まだもがいていた。
どうやらこのあと8時ころに砂地獄からの脱出に成功したらしい。
夕方彼女は樽川埠頭に接岸していた。
なにはともあれヨカッタ。私も,おいで〜おいで〜と呼び寄せる魔の手から解放されてホッとしている。




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