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石狩川河口での遭遇

番外 06

砂嘴先端2017 もくじ

2017.05.16 公開
2018.07.12 更新


砂嘴先端2017年,いきなり伸びた


■ 2017年2月 以降の動き

2017.05.16



すでに Topics で速報済みだが,砂嘴先端は冬の間からぐんぐん伸び出した。
4/24には2/15のレベルから早くも100m近く伸びて,2014年秋以来久々来札水制工延長線を(ちょっとだけ)突き抜けた。

その後5/9には先端は海側へとぶれる夏季特有の動きを見せているがやや縮まった。
ただし5/9は4/24に比べて歩いた時点での潮位が10〜15cm高く,かつ波がやや荒くて張り出した浅瀬を歩くことができなかったことにもよる。歩いた時の海の諸状況に影響されることはいたしかたない。

昨夏の連続台風の大雨による石狩川の洪水を受けて大量に海に流出したであろう土砂(漂砂)の振る舞いのひとつとして,砂嘴先端部分への堆積/伸長があることは疑いない。
今回はとりあえずの一報として,今後の動きに注目したい。


2017.06.21 突起出現



前回(6/7)歩いた時は5/25とほとんど変わらず。沖合に細長い島状の砂州,あるいは水面下の浅瀬が確認されていた。
6/20に行ってみると,全体では百数十m,来札水制工延長線からでも60m以上先端が突起していた。
沖合に離れていた島ないし浅瀬に堆積が進んで砂嘴先端につながったものと考えられる。
この日も歩いた時間帯の潮位は20〜30cmと決して低くはないにもかかわらずこれだけ陸化していたわけだから,潮位が下がった時間帯では水面上にもっと長く現れるに違いない。

a

b

c
(a) 突起を横から眺める。
先端近くでは水鳥たちが憩う。
(b) コワゴワ歩いて,突起の最先端まで。
(c) 最先端近くで振り返る。
突起は陸化しているとはいえ始終波に洗われている。
時に強い波が来ると,長靴は水浸し・・・


2017.08.03 突起が消えた



7月は3回歩いたがついに突起に出会うことはなかった。(関連:Topics)
歩いた時間帯における潮位(石狩新港)は,
6/20 約25cm
7/01 約40cm
7/22 約45cm
7/29 約30cm

6/20 に比べて 7/01,7/22 はかなり高い。そのために突起は水没しているのだろうと思った。
しかし 7/29 はほとんど変わらない。しかも波はほとんどない。
静かな海面を睨んでも水面下に突起が潜んでいるようにも見えない。
先端も少しずつ短くなってきている。


2017.09.13 その後の先端



8/21 少しだけ先端に再び突起があらわれたが,すぐに沈んでしまった。(クルミの子,参照)
9/11 先端にはわずかな膨らみがある程度である。
先端の見た目
2017.06.20

2017.08.21

2017.09.11
そして先端近くにオカヒジキが戻ってきた。

2017.08.21

2017.09.11
相変らずオニハマダイコンの圧倒的な勢力圏にあるものの,あっちでもこっちでもオカヒジキが健闘している。
初めて気づいたのは 8/21。このときはまだ,みずみずしく美味しそうだった ^_^;;; 。
しかし 9/11 では早くも結実が進んでかたそう。。。

いずれにしろ遅かれ早かれこのあたりはまた海の中になるのだろう。


2017.09.21 台風18号の置き土産




9/18 台風18号通過。台風の左側だった石狩はさほどでなかったとはいえ海は荒れ,川は増水した。
9/19 川岸には大量の流木,そしてゴミまじりの小枝類が流れ寄せていた
川側の汀線位置は9/11とほとんど変わらないが,海側の汀線は10〜15mほど陸側へと押し戻されている。
クルミの子のあたりは,20m近く後退した汀線上。

激しい荒波は小高くなったバームを易々と乗り越え,内部の窪地に大量の海水を供給。(越流の跡)
大きな中海が形成され,溜まった海水ははるばる川側へと流路を求め流れ出ていた。

a

b

c

d

(a) 流路の石狩川に合流する出口
(b) 流路の途中から石狩川側を見る
(c) 流路の途中から中海側を見る。
(d) 広い中海。向こうは石狩湾(外海)。

2017.09.22 追補

そういえば,一昨年 2015.05.14 にも巨大な中海がふたつも形成されていた。
今回の中海と重ねあわせてみた。(←クリックすると,それぞれの中海の位置と大きさを比較できます)

どちらも大きい。
違いは,外海と内海との間の距離。
2015年の場合は数mと狭く,歩いていても始終波をかぶり海水が越流して中海に供給されていた。
今回の場合はかなり間隔があって20〜30m。
潮位が上がって海がさらに荒れていたならば,2015年と同様の狭さになっていたものと思われる。


2017.10.28 潮位が低下,離れ小島(砂州)が浮上。堪能しました。


←クリックすると拡大して私も現れます。


9/19

10/28
まず,中海のできた9/19と島砂州ができた10/28との潮位の比較。
左は石狩新港潮位計のデータであるが,石狩川河口の潮位とほぼ同一と考えられる。
先端付近を歩いたのは,9/19が11時前後,10/28が12時前後。
天文潮位(気圧や風の影響を考慮せず,月と太陽の潮汐力から予想される潮位)では10/28の方がやや低い(数cm)程度。
しかし台風18号通過直後でまだ低気圧圏内だった9/19は吸い上げ効果でかなり潮位が上がっているのに対し,10/28は高気圧の圏内で海面が押し下げられ潮位も低い。
結果両日では50cmほどもの潮位の差が見られる。かなり大きい。

同時に10/28はやや強い南東風。石狩川の川面は激しく波立っていたが,出し風のため海面は極めて平穏。
干潮,高気圧,南東風の3つの好条件のおかげで汀線から10mほど沖合の海面上に島砂州(離れ小島))が顔を出してくれていた。
当然渡りたいでしょ。目盛つき流木杖が力を発揮する。深さはどうやら20cmほど。
長靴にも浸水せずに渡り切ることができた。

a

b

c
(a) 右の島から左の島を望む。
(b) 左の島から右の島を望む。
(c) 砂嘴先端から両方の島を望む。
島はほぼ中央で海水の流れにより分断されているが,合わせて長さ170mほど。結構大きい。
幅はひろいところで40m程度。分断するといっても流れは浅いので,恐る恐る行き来可能。
全体に干潟風。海水に浸されているので,海面上に出ていても液状化状態。
下手すると数10cmあるいはそれ以上ずぶずぶっと長靴が埋まってしまい,足を抜けなくなる危険もある。
好い子の皆さんはこんなことマネしない方がいい。
年寄りだってしない方がいいに決まっている。
でも単純に楽しかった。


砂嘴先端2017年冬期(秋から春まで)のまとめ

2018.06.08 おくればせながら


←クリックすると拡大

6/20 突出した先端は長続きせず,7月には消失した。
全体として夏季も穏やかで地形変化は小さいものだった。

一方冬季は砂嘴先端が海側から川側へと押し出される分かりやすい冬型パターンの推移が確認された。
10月から3月末まで,最大風速10m/s以上の北西の強風が記録された日数は12回。
中でも地形変化に大きな影響をもたらしたと思われる西北西からの烈風を伴う気象は次の3回。

最大風速(m/s) 河口水位(cm) もたらされた変化
A 2017.11.11 14.9 113 図の 10/28 ⇒ 11/13 の変化
B 2017.12.25 18.3 100 図の 12/21 ⇒ 01/17 の変化
C 2018.03.02 16.8 81 図の 02/20 ⇒ 03/18 の変化

なお,先端ではないが海浜植生が進出していたBエリアは,11/11,12/25の高波の浸食により,全滅した。



No. 001 〜 010 No. 011 〜 020 No. 021 〜 030 No. 031 〜 040 No. 041 〜 050 No. 051 〜 060 No. 061 〜 070
砂嘴先端2014 砂嘴先端2015 砂嘴先端2016 砂嘴先端2018 定点観察
河口砂嘴の地形変化-総集編
(A) 先端部の季節的変化
河口砂嘴の地形変化-総集編
(B) 石狩砂丘の堆積速度
河口での遭遇 : 目次